記録型光ディスクの革命児「M-DISC」

残念ながら光ディスクの市場は縮小傾向が続いており、記録型光ディスクの日本国内製造を続けていた太陽誘電が今年いっぱいで販売を終了し事業を撤退すると告知され、市場の縮小を実感せずにはいられない今日この頃です。

しかし、光ディスクの普及率は非常に高く、再生機のバリエーションにも恵まれていることから、近年すぐに無くなってしまうことは考えにくく、今後も記録メディアの中心を担っていく可能性は大いにあり、引き続き注目していくべきかと思います。

光ディスクは再生機の普及率が高い点と、メディアとドライブが独立している点、物理的に手元に保管できる点などで、ハードディスクやフラッシュメモリ、クラウドサービスなどと比べて優位性が保てる点が多く、欠かせないメディアと言えます。

メディアとドライブが一体であるハードディスクはドライブの故障がそのままデータの喪失につながってしまう危険があり、信頼性が低いのが欠点ですし、フラッシュメモリと共に長期間の記録保持は困難です。ハードディスクは磁気、フラッシュメモリは電荷の消失でデータが消えてしまいます。
近年大容量化が進んで高速なネットワークが整備されたことにより、その利便性が注目されるクラウドサービスも、もしもサービスが終了となった場合にはデータを丸ごと移行する必要性があり、情報漏えいのリスクもつきまといます。

これらのメディアに比べて不安が少ない光ディスクですが、大きな欠点として「高温、多湿、太陽光に影響されやすい」のがあります。これは、データの記録を化学的に変化する層に行っているためで、方式上逃れられないものとされていました。

しかし、今回ご紹介する「M-DISC」は、この化学的に変化する層を「物理的に変化する層」に置き換え、まるで石版を削って文字を書き込むように記録するため、古代から残存する石版のように超長期間(メーカー公称は千年)の記録保持を実現しています。

m-disc1
m-disc2
http://www.soho-jp.com/modules/products/content0268.html

一般的な化学変化する層を用いた記録型光ディスクに比べると、ドライブの記録レーザー出力が高い必要があるため、ある程度は記録ドライブを選んでしまうきらいはありますが、一度記録してしまえば読込のドライブは問わずに普通の光ディスク同様の互換性が保てます。記録済みのDVD-Videoディスクならば一般的なDVDプレーヤーなどでも利用可能です。

特殊な層を用いたため価格はやや高くなっていますが、記録したデータが消えてしまうリスクを低減する保険として、先行投資するつもりで考えたなら決して高いとは言えないのではないでしょうか。

この機会に「M-DISC」のコンセプトをご理解いただき、ぜひ長期保存用メディアとしてご活用いただければと思います。

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